終戦の詔勅

半旗

69回目の大東亜戦争終戦の日です。
私の祖父母を含め、当時日本のために尽力した方々に感謝し、また亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 

何というわけでもなく当時のことについて調べていたら目に付きました。

『終戦の詔勅』、所謂『玉音放送』の全文。
そういえば『耐え難きを耐え~』の一節以外、意味を含めて全く知りませんでした。
太字が原文、次の文章が現代語意訳です。少し長くなりますが、是非お付き合い下さい。

 

 終戦の詔勅

朕深く世界の大勢と帝國の現状とに鑑み非常の措置を以て時局を収拾せむと欲し茲(ここ)に忠良なる爾(なんぢ)臣民に告く

私は世界の情勢と日本の現状を深く考えた結果、非常の手段によってこの事態を収拾したいと思い、忠義で善良なあなた方臣民に伝える。

 

朕は帝國政府をして米英支蘇四國に対し其の共同宣言を受諾する旨通告せしめたり

私は、「(ポツダム)共同宣言を受け入れる旨をアメリカ、イギリス、中国、ソビエトの4カ国に伝えよ」と政府に指示した。

 

抑々帝國臣民の康寧を図り万邦共榮の楽を偕にするは皇祖皇宗の遺範にして朕の拳々(けんけん)措(お)かさる所

そもそも日本臣民が平穏無事に暮らし、全世界が栄え、その喜びを共有することは、歴代の天皇が代々受け継いで守ってきた教えであり、私自身もその教えを常に心に持ち続けてきた。

 

曩(さき)に米英二國に宣戰せる所以も亦実に帝國の自存と東亞の安定とを庶幾するに出て他國の主權を排し領土を侵すか如きは固(もと)より朕か志にあらす

アメリカとイギリスに宣戦布告した理由も、日本の自立と東アジアの安定を願うからであり、他国の主権や領土を侵すようなことは、もともと私の思うところではない。

 

然るに交戰已に四歳を閲し朕か陸海將兵の勇戰朕か百僚有司の励精朕か一億衆庶の奉公各々最善を尽せるに拘らす戰局必すしも好轉せす世界の大勢亦我に利あらす

しかしながら戦闘状態は4年を越え、我らが陸海将兵の勇敢な戦いぶりや政府役人らの一心不乱の働きぶり、そして1億人の庶民の奉公、それぞれが最善を尽くしたにも関わらず、戦況は必ずしも好転せず、世界情勢を見るに、日本に有利とはとても言えない状況である。

 

加之敵は新に残虐なる爆彈を使用して頻(しきり)に無辜を殺傷し惨害の及ふ所眞に測るへからさるに至る而(しか)も尚交戰を継続せむか終に我か民族の滅亡を招來するのみならす延て人類の文明をも破却すへし

その上、敵は残虐な新型爆弾を使用して多くの罪のなき者たちを殺傷し、その被害の及ぶ範囲は、測ることもできないほどに広がっている。もしもこれ以上戦争を続ければ、最後には我が日本民族の滅亡を招くだけでなく、 ひいては人類の文明をも破壊してしまうだろう。

 

斯の如くは朕何を以てか億兆の赤子を保し皇祖皇宗の神霊に謝せむや是れ朕か帝國政府をして共同宣言に応せしむるに至れる所以なり

そのようなことになれば、私はどうやって1億人の民を守り、また歴代天皇の御霊に顔向けすることができようか。これが私が政府に対し、共同宣言に応じよと指示した理由である。

 

朕は帝國と共に終始東亞の解放に協力せる諸盟邦に対し遺憾の意を表せさるを得す帝國臣民にして戰陣に死し職域に殉し非命に斃れたる者及其の遺族に想を致せは五内爲に裂く且戰傷を負ひ災禍を蒙り家業を失ひたる者の厚生に至りては朕の深く軫念(しんねん)する所なり

私は、アジアを(西欧列強から)開放するために日本に協力してくれた友好国にたいして大変申し訳なく思う。また、日本国民であって戦地で命を失い、 職場で殉職し、非業の死を遂げた者、そしてその遺族のことを考えると、 心も体も引き裂かれんばかりの思いである。戦争で傷つき、戦禍にあって家や仕事を失った者たちの暮らしについても、深く心配するところである。

 

惟ふに今後帝國の受くへき苦難は固より尋常にあらす爾臣民の衷情も朕善く之を知る然れとも朕は時運の趨く所堪へ難きを堪へ忍ひ難きを忍ひ以て万世の爲に太平を開かむと欲す

この後、日本は尋常でない苦難を受けるであろう。臣民の皆の本当の気持ちも、私はよくよくそれを分かっている。けれども私は時代の運命の導きにそって、耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、これからもずっと続いていく未来のために、平和への扉を開きたい。

 

朕は茲に國體を護持し得て忠良なる爾臣民の赤誠に信倚し常に爾臣民と共に在り

私はここにこうして日本の国体を守り、忠義で善良なあなた方臣民の真心を信頼し、そしていつもあなた方臣民と共にある。

 

若し夫れ情の激する所濫に事端を滋(しげ)くし或は同胞排擠(はいせい)互に時局を亂り爲に大道を誤り信義を世界に失ふか如きは朕最も之を戒む

感情の赴くままに問題を起こしたり、もしくは仲間同士が争って国を混乱に陥らせたり、人が守るべき正しき道を誤り、世界からの信頼を失うようなことを、私は最も懸念している。

 

宜しく挙國一家子孫相傳へ確く神州の不滅を信し任重くして道遠きを念(おも)ひ総力を將來の建設に傾け道義を篤くし志操を鞏(かた)くし誓て國體の精華を発揚し世界の進運に後れさらむことを期すへし爾臣民其れ克く朕か意を體せよ

国を挙げて家族のように一丸となり、神国日本の不滅を固く信じて、子孫にまでその思いを伝え、責任は重く、道は遠いことを自覚して、将来の建設に向けて総力を結集し、道義を守り、志と規律を強く持って、日本の栄光を再び輝かせることを誓い、世界の流れに遅れをとらずに進む決意を持とうではないか。臣民たちよ、ぜひともこの私の意思をよくよく理解してほしい。

 

今まで敗戦報告だと思っていた『終戦の詔勅』…その深い内容に強く心を打たれました。
祖父母達は、この言葉を胸に苦難を乗り越えて日本を立て直してきたのですね。

殺人事件、汚職や不正、領土問題、マスメディアの捏造、児童虐待やいじめ問題…
日々過ごす中で違和感を感じる場面、数えればキリが無いです。
そんな現代において、終戦の詔勅で天皇陛下が国民にお求めになったもの、自分も含めた今の世代が失いつつあるものではないでしょうか?

 

私にとって、この終戦の詔勅の内容はとても有意義でしたが、だからと言って考えを押し付けるつもりは一切ありません。
ただこうして記事を書くことで、誰かが関心を持ち、そして小さくても心の指標の一つになったなら幸いです。