1979年式XLH1000・スポーツスターのキックスタート化作業をご紹介します。
以前に当店で販売した車両です。今回は完成図からのスタートです。
2年以上前の車両購入時からキックスタート仕様にしたいというお話でしたが、V-Twin製のキックキットがずーーーーーっと欠品中のため、純正のスプロケットカバーを加工してキックスタート化することになりました。
これほどの長期欠品にも理由があります。
ご存じの方も多い(?)と思いますが、アイアンスポーツでキックスタート仕様にできるのは1979年式までです。
スターターシャフトが通るスプロケットカバー形状が以前の年式と異なるため、1979年式ワンイヤーのみのパーツとなっているのです。
一言で申しますと、 需 要 が な い 。
標準はセルオンリー仕様ですが、矢印の通りシャフトが通る穴は残っています。
いつもの部品をバラで取り寄せ、加工・装着していきます。
一応キック仕様にコンバージョンできる設計とはいえ、当然ポン付けはできません。
そしてお決まりの問題発生。
クランクギアの造りが悪く、動かすと引っ掛かります。修正を試みましたが無理でした。
この精度で検品をパスしてくるのもどうかと思いますが、まぁ社外品は大体こんな感じです。
それなりに使えそうなクランクギアを装着して再度動作確認。そしてまた問題発生。
クランキング10回に1回程度、キックアームが下りない位置があることが発覚。
当店では、アイアンスポーツでよくあるキック抜けトラブル防止のため、ラチェットギアのスプリングにナイスモーターサイクルさんの物を使用しています。
関連記事:【動画有り】1976年式XLCH キック抜け修理
ナイスさんのスプリングはギアの圧着力を高めるため、線径と形状が純正と異なりますが、今回の物は矢印の部分でクランクギアと干渉してしまっています。
以前、友人から同様のトラブルについて聞きましたが、当店でこのケースは初めてです🙄
原因は単純なことなので、加工して対応しました。
ナイスさんのスプリングもデメリットはゼロではありませんが、キック抜けに対しての修理コストを考えると、間違いなくこのスプリングを組んだ方が持ちは良いです。
最後は一番手間の掛かるスプロケットカバーの加工です。
なにせ穴を空ける基準が全く無いので、その位置決めが一番の手間です。
一応ケース側の穴に対して1/100mmで芯が出ているはずです。
エンドミルで下穴を開けた後は、ホーニングマシンを使って精密研磨です。
ブッシングの外径に合わせ1/100mm単位で穴を拡げ、圧入クリアランスを調整します。
ブッシングを圧入後、リターンスプリングスタッドとグリスニップルのネジ穴を加工。
それらの部品を組み付け、一発でスプロケットカバーが装着出来ました💪
あとは外した部品を元通りに組んで完成…の予定でしたが、
社外マフラーでエキパイの取り回しが純正と異なるため、タンデムステップが完全に格納できず、キックアームを下すと干渉します。
折り畳む方向を90°変換するマウントをワンオフして対応しました。
これにて作業完了です。始動の動画をご覧下さい。
冷間からのスタートでも始動性は良好で、ケッチンの心配もまずありません。
アイドリングも安定していて、アイアンスポーツですが三拍子っぽいリズムを刻んでいますね😅
現在はポイント点火ですが、ダイナ2000iを装着すれば走りの面でも一層楽しさを引き出せると思います。
関連記事:【動画あり】1978XLH1000 デジタル点火+ドラッグパイプ
S様、毎度ありがとうございます。またのご依頼をお待ちしております。
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