【長文注意】1981年式FXB クラッチ周り整備・調整2

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1981年式FXB・スタージスのクラッチ周辺整備・調整の続きです。
あらすじは先日の記事をご覧下さい。

さて、次はクラッチ断続に関係するベアリングなどをチェックしていきます。

1981FXB クラッチ・シフトトラブル2

キックカバーの内部に有りますが、フィラーキャップを外すと目視できます。
というか、この時点で大事な部品が欠品しているため、分解確定です。

 

分解は確定したものの、一応ベアリング周辺の動きも見ておきます。

クラッチを切ると、回転している部品の動きが止まるのが確認できます。
これがベアリングなのですが、摩擦を減らすための部品が動かないのはうまくないですね。

 

では、開けます。

1981FXB クラッチ・シフトトラブル3

開けたついでに色々と新品に交換です。

 

ちなみに欠品していたのはオイルスリンガーという、銀色のドーム状の部品です。

1981FXB クラッチ・シフトトラブル4

この部品は直接クラッチに関わる部品ではありません。入ってなくても動作します。
しかし潤滑関連の部品なので、入っていないと各部の耐久性が落ちてしまいます。

 

結局NGだったベアリング。プレートが抉れてました。ローラーが飛散しなくて良かったです。

1981FXB クラッチ・シフトトラブル5

なお、組みつけた新品は純正よりローラーの本数が多く、耐荷重がアップしています。

このベアリングは耐久性が良くないとか、当たり外れがある…なんて話を耳にします。
しかし、自分が今まで見てきた限りでは、ほとんど壊れたことがありません。
その差は何なのか?という点について、ちょっと個人的考察を書いてみます。

 

まず、このベアリング周辺の構造ですが、略図はこんな感じです。

ショベルヘッド 4速ミッション クラッチリリースの構造1

レリーズフィンガーの四角い穴にはシャフトが通ります。
クラッチを操作するとシャフトを中心にスイングし、プッシュロッドを押します。
走行時、プッシュロッドは回転しているため、レリーズとの間にはベアリングが必要です。
※レリーズ=release=リリースです。業界訛りです。

 

上から見ると、このような位置関係です。クラッチを切っていないフリーの状態。

ショベルヘッド 4速ミッション クラッチリリースの構造2

プッシュロッドの中心線とレリーズ接点はオフセットしています。

 

クラッチを切った状態。スイングに合わせてレリーズ接点が移動していき、

ショベルヘッド 4速ミッション クラッチリリースの構造3

完全にクラッチを切った時=スプリング荷重が最大の時に、レリーズ接点とプッシュロッド中心線が同軸となり、横方向への力が発生せずに荷重を一直線上で受け止める。
実際100%同軸になるかは別としても、極力同軸に近づくのがより良い作動状況と言えます。

 

このような作動のためには、レリーズフィンガーの作用開始角と範囲がとても重要になります。

1981FXB クラッチ・シフトトラブル6

純正の調整方式ではレリーズレバーとトップカバー間の寸法を数値化することで、結果としてレリーズフィンガーの作用開始角が定まるようになっていると思われます。

 

では実車で調整を行ってみます。
スーサイドクラッチ仕様でアームが改造されているため、マニュアル記載とは別の位置で寸法を調整しましたが、レリーズフィンガーの作用開始角は純正と同じです。

1981FXB クラッチ・シフトトラブル7

すると、延長・角度変更したアームがカバーに干渉し、動作量不足でクラッチが切れません。
こうなるとクラッチ調整スクリューを締め込み、アームを後退させて=作用開始角を変化させて動作量を確保するしかありません。

 

中ではこのような動きとなります。分かりやすいよう、やや大袈裟に描いてます。

ショベルヘッド 4速ミッション クラッチリリースの構造4

もともとオフセットしていたレリーズ接点ですが、クラッチ調整スクリューの締め込みによって、作用開始位置がベアリングの端まで移動してしまいました。
クラッチを切り始めると、ベアリングを斜めに押しながら接点が移動していきますが…

 

クラッチを完全に切った状態でも、レリーズ接点はプッシュロッド中心線を外れたまま。

ショベルヘッド 4速ミッション クラッチリリースの構造5

負荷が最大にも係らず、偏った力がベアリングに掛かってしまうことになります。

 

改めて損傷したプレートを見て下さい。
全周で摩耗が発生したわけではなく、中心からオフセットして摩耗が発生しています。

1981FXB クラッチ・シフトトラブル5

2時から6時方向までの範囲が特に深く抉れているのが分かると思います。

実は5速ミッションにも同じベアリングが使われています。
しかし構造上、全体に均一に荷重が掛かるので、このようなトラブルはほぼ有りません。

 

ついでなのでもう一つ。クラッチ調整スクリューの調整方法について。
雑誌のDIY記事などで『突き当りから〇回転戻し』というフレーズが登場します。

ただ、この箇所で言う突き当りというのは、↓のように既に危険な状態を意味します。

1981FXB クラッチ・シフトトラブル8

仮に1/4~1/2回転程度戻したところで、遊び調整が不適切だと再度接触→終了です。
オイルスリンガーの穴がダメになるトラブルも、大体はこれが原因です。

結局、原理を無視した調整がベアリングの寿命を大幅に縮めている原因だと思います。
長くなりましたが、以上、考察でした。

 

さて、その他のネタ。先端にボールが埋め込まれた社外品クラッチ調整スクリュー。

1981FXB クラッチ・シフトトラブル9

レリーズにベアリングがあるので、ボールは邪魔者でしかありません。削り落とします。

 

走行時の異音は回転に合わせて断続しているような音でした。
スチールプレート溝のクリアランス過大が原因でしょう。

1981FXB クラッチ・シフトトラブル10

シェル回転方向と反対側が減るということは… 減らないような乗り方というのも大事です。

 

結局レリーズアームの問題は作り直さないと解決しません。
お客さんに状態を説明し、できるだけベアリングに負担が掛からないよう調整しました。

少し早めのアイドリングにしていますが、スパッと切れています。
クラッチを切るとハブの回転が遅くなるのが伝わるでしょうか?
ミッション内部も微妙に回転していますので、1速に入らない問題も解決しました。

撮影時はスタンドを掛けているため、車体の傾きにより多少引き摺りがあります。
走行時、車体を起こした状態では、さらに良いバランスになります。

その後も調子良く乗られているそうで何よりです。
市内のW様、ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。

 

 

 

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