Fバナナキャリパーのガタ止めスプリングについての考察 #2

 

前回に引き続き、なぜ上側ピン穴の摩耗が早いのかを考えていきます。
関連記事:【長文注意】Fバナナキャリパーのガタ止めスプリングについての考察 #1

・上側ピン穴の摩耗が早い原因

については、
①制動時の力の掛かり方
②走行時のフォーク上下動に伴う摩擦の発生
の二つの原因を推測し、前回は①について解説しました。今回は②から解説していきます。

1979FLH バナナキャリパー アンチ ラトル スプリング4

前回も述べましたが、キャリパーの自重により6時方向と9時方向に力が発生しています。キャリパーの後方側だけで自重を支えていますので、前方側が下がる形です。

走行時には路面の凹凸に沿ってフォークが上下し、キャリパーもその力を受けます。
この時、キャリパーは自重と支点の位置関係により、上の図のように下側ピンを支点に揺動していると思われます。
FL系でバナナキャリパー装着車両では、走行時にフロント周りからカタカタと音が聞こえてくることも多いと思います。

制動時ほどの力ではありませんが、クリアランスが大きいことで瞬間的な衝撃となります。
ブレーキの仕様に関わらず走行時には常に影響を受けるため、この揺動が原因で距離に比例して摩耗が促進されている可能性があります。

 

・スプリング装着時のクリアランスの変化

次に例のスプリングを正規位置で装着した場合、ピンの位置は下記の図のようになります。

1979FLH バナナキャリパー アンチ ラトル スプリング5

キャリパー前方下部から時計回りに本体を押し上げる力が掛かりますので、下側ピンは12時方向へ、上側ピンは本体のクリアランス分3時方向への力が発生します。
実際、スプリング装着後のキャリパーに力を掛けると、上側ピンのクリアランス分だけ反時計回りに動きます。

それなりのテンションなので走行時でも自重で揺動が発生することは無く、前述の②走行時のフォーク上下動に伴う摩擦の発生を原因とした摩耗は発生しないはずです。

しかし、このピンの位置関係は別の問題が発生します。

続く

 

 

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