1974年式FXE スーパーグライドのシリンダーヘッド、エキゾーストフランジボルトねじ穴の溶接修理をご紹介します。

お客さんご自身でエンジンを分解され、シリンダーヘッド単体でお持ち頂きました。
損傷したねじ穴の状態確認
ねじ山は滑ており、クラックで分離した破片を金属パテで接着されている状態でした。

最近は優秀な金属パテも販売されていますが、力が掛かる箇所は表層だけパテ盛りしても効果が薄いです。
ここまでの状態となると、根本的な修理にはやはり溶接肉盛りが確実ですね。
TIG溶接でアルミを肉盛りする
途中の写真がありませんが肉盛り完了の図です。
損傷したねじ穴部分は大きく切開し、根元からねじ穴を埋めていきます。
以前の作業ではポート内の段付き摩耗も修理しましたが、今回はねじ穴のみの作業です。

肉盛り量が増えるにつれ歪みの影響も大きくなります。
歪みを最小限に抑える工程が必要なので、単純な接合時以上に時間が掛かります。
エキゾーストフランジボルトのねじ穴を加工する
肉盛りが完了したらフライス盤にセットして切削加工に入ります。
まずは水準器(水平器Lv.99的なやつ)で加工面の水平を出します。

本来の基準面の出し方とはやや異なりますが、今回はコスト重視なので早い方法にて。
とは言っても実用に問題の無い程度には仕上がります。
肉盛り部の平面切削、ねじ穴の下穴開けを行い、タップでねじ山を切ります。

肉盛りに使用するアルミは純正の鋳造用アルミより強度が高いものとなります。
タイムサート仕様にせずとも従来以上の耐久性が期待できます。
仕上げ~完成
ねじ穴の加工完了後、余分な肉盛り箇所を切削して純正の形状に近づけます。

切削後の表面は鋳肌風に加工し、補修跡が目立たないように仕上げます。
外したバルブ周りの部品を復元して完成です。

もちろん各部簡易的な点検を行いながら組んでいます。
気になった箇所についてはオーナーさんにご報告済みです。
サンプル用にストックしている前期型ヘッドとの比較。
…のつもりが、思いの外広角の撮影になって分かりづらいです。

ねじ穴の位置について触れたかったのですが、今回のようにねじ穴が破壊されていた場合、元の穴の位置を完全に拾えないことがあります。
エキゾーストポート中心からの距離、要するにPCDは確定しています。
しかし、何時何分の方向に位置するか?については、純正でも個体差があるようです。
その際はサンプルのデータを基に再生することになりますが、元の穴位置と多少ズレが生じる可能性がありますので、予めご了承下さい。
今回の作業費用
なお、今回ご紹介した作業は下記の費用となりました。
項目 | 金額(消費税込み) |
---|---|
部品代 | – |
技術料 | ¥66,000 |
合計 | ¥66,000 |
記事掲載時点の概算参考価格
山形県よりお越しのI様、ご依頼ありがとうございました!
またのご来店をお待ちしております!
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