業者様から ショベルヘッド のシリンダーヘッドの修理のご依頼を頂きました。
段付き摩耗したエキゾーストポートのフランジ部分内径と、一応補修済みだが位置が合っていないであろうマウントねじ穴を修理します。
エキゾーストポート周辺の状態確認
こちらはフロント側Before。インサートがせり出してます。
そして更にダメージの大きいリア側Before。
とにかく摩耗が半端ないです。
それもそのはず。インサートの下穴もガタガタになっており、手で抜けました。
アルミを肉盛り溶接する
修理方法としてはアルミを肉盛り溶接した後、フライスで切削して成形となります。
ねじ穴部分は根元まで大きく切り欠きます。
そして肉盛り溶接。
溶接部は溶けて熱膨張した金属が冷めて個体に戻る際、体積の減少によって内部に収縮しようとする力が生じます。
その力が歪みの原因となりますが、アルミは金属の中でも熱膨張率が高いうえ、柔らかく変形しやすいので、ここまで肉盛り量が多いとその影響は無視できません。
ということで多方面から歪み防止の対策を行いつつ溶接しています。
一気に盛り盛りとはいきませんので、部品製作時の溶接より遥かに時間が掛かります。
その甲斐あって歪みは出さずに下地作りが完了しました。
大きなフィン欠けは補修されていましたが、未補修のフィン欠け発見。
お待ち頂いているお詫びと言っては何ですが、ついでに補修しました。
バラしている機会でないと作業できませんので…。
切削加工~完成
そしてこの後は肝心の切削行程ですが、着手前から過去一で悩み続けました。
例えば、ポートが正常なヘッドに車載状態で『ねじ穴を作る』という場合、その行為自体は比較的簡単と思われることでしょう。
エキパイを挿せば現物合わせで大体のねじ穴の位置を出せますからね。
そこに『純正同様に』という条件が付くと格段に難易度が上がります。
垂直度はもちろんポートに対するねじ穴の距離、いわゆる座標を2次元で数値化する必要が出てきます。
今回の課題はそれを3次元で純正同様に再現すること(ちなみに設計図や加工用ジグはもちろん無いし、本来基準にするポート周りは全損で事前のデータ収集もできまてぇーんwww(煽))となります。
これを料理で例えたら『レシピ無しで見本と同じ味を再現して下さい』的な無茶振りになりますが、四苦八苦して完成しました。フロント側After。
穴の位置関係、角度をはじめ、ヘッド本体からのフランジ部の突き出し量まで、それなりの精度で純正を再現できました。
過去に補修した箇所の影響で再現度100%とは言えませんが、5/100mm程度の誤差に収まっているはずです。
リア側After。こちらは特に摩耗が激しかったですがご覧の通り。
事前に加工方法の思考実験を行うのですが、今回は基準点が設定できないため、どのパターンも最終的には手詰まりでした。
その解決策は意外な物でしたが、応用を含めると修理の選択肢が大きく広がりました。
外観については定番のテクスチャを付けてありますので、酸化して色が馴染めば補修の痕跡はほとんど残らないと思います。
次回、バルブ周りの組み立てに続きます。
関連記事:ショベルヘッド バルブスプリング組み付け【長文注意】
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