車高が稼げるのか? という疑問が生じたところまでご紹介しました。考察なんて大げさなことを言いましたが、複雑な話なのでサラっと行きます
今の段階でインナーチューブ・ダンパーチューブの長さはXL883Rと同じ仕様なので、
あとは車両を起こした時の沈み込みが少ないほど、車高が稼げるということになります。
沈み込みが少ない=スプリングが固いということなので、これらはどちらが固いのか?という比較になるわけです。
スプリングの固さの尺度をバネレート(バネ定数)と言い、N/mm(kgf/mm)という単位で表されます。
日常で『N=ニュートン』はなじみが無いと思いますので、kgf表記で話を進めますね。
これはバネを1mm縮めるのに必要な力という解釈です。
例えば定数1kgf/mmのスプリングは、1mm縮めるのに1kgの荷重が必要です。
5kgの荷重を掛けて5mm縮むスプリングも定数1kgf/mmということになります。
じゃあ実際にスプリングを縮めて測るのか?という話になりますが、
当店はスプリング屋さんではないので、この長いスプリングを計測するのは無理。
今回は測定した数値(追記:寸法です)を使って、バネレートの理論値を計算・比較してみたいと思います。
※写真の加工が出来なかったので、以降同一サイズのモデルでご説明します。
この際に注意しなければいけない点があります。
単純にバネレートを計算できるのはスプリングのピッチが均等な部分となります。
一部分を拡大して見た画像です。この場合ピンクは等ピッチ、水色は不等ピッチのスプリングということになります。
ご覧の通り、高年式のスポーツスターには不等ピッチスプリングが使用されています。
ピッチの大きい部分、小さい部分でバネレートが異なるため、ピッチの大・小で分けて計算します。
それぞれのピッチと計算したバネレートは下の図の通りです。
ピッチの大きさに比例してバネレートも高くなる関係にあることが分かります。
一見するとバネレートの最大値が高いのはXLRモデルのスプリングですが…?
そして大小それぞれのバネレートを合成した数値がスプリング全体のバネレートとなります。
合成したバネレートは最大値よりも低い数値となります。
計算してみると…
XLRモデル:0.34kgf/mm
XLLモデル:0.43kgf/mm
となり、XLLモデルの方がスプリング全体としてのバネレートが高いことになります。
前述の通りで、スプリング以外はXLRモデルと同じ条件のため、バネレートの高い
XLL純正スプリングを使用したほうが、より車高が高くなるということになります。
※複雑なので計算や細かい理屈はだいぶ省かせて頂きました。
また機会があれば不等ピッチスプリングの特性などもご紹介したいと思います。
結果が分かったので後はひたすら組み立てていくだけです。
油面調整についても、今回はマニュアルとは異なる数値でセットしております。
組み立てはかなりすっ飛ばしましたが、これにてフォークスプリング交換完了です。
次回、完成編ですよー。
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