1974年式 XLH1000 キックキット取り付け #2

1974年式XLH1000 アイアンスポーツのキックキット取り付け…続きです。
前回はクラッチシェルにラチェットプレートを装着しました↓
関連記事:1974年式 XLH1000 キックキット取り付け #1

今回はキック機構の完成までをご紹介します。

スプロケットカバーの加工

まずは支給品のスプロケットカバーを加工します。

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上部の固定位置で仮合わせすると…

下部はカムカバーに干渉してマウントできません。

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削って合わせての繰り返しで地道にチリ合わせします。

一応干渉は無くなりましたが、当たり面の精度が悪くガタがあります。
手持ち撮影なので分かりづらいですが、カバー同士の隙間の変化に注目して下さい。

このままではキック時の荷重を完全に受け切れないので修正します。

座面修正後はグリスニップルを増設します。

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特殊サイズのタップでねじ切り。

装着完了。メーカー側で付けてないのが不思議。

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カバー側の主な加工はこれにて完了です。

強化ラチェットギアスプリングのメリット・デメリット

ラチェットギアスプリングですが、今回はNice Motorcycle製の強化タイプを使用します。

メリットはギア抜け防止に効果絶大なことですが、純正と仕様が変わることで実はデメリットも生じます。以下でサンプル画像と共に解説します。

デメリット① キックアームの動作が渋くなる

キックアームを下ろす際は、だいたい10時~6時方向の範囲でラチェットが噛み合います。
それ以外の角度ではカムプレートでラチェットギアを断続しています。

カムプレートの傾斜は約45°で、スプリング張力は回転方向にも変換されて作用します。
張力が強化されると回転方向への負荷も増えてしまい、断続時の抵抗やショック、アームがストップ位置まで戻りきらないといった症状が出ることがあります。

デメリット② スプリングがギアと干渉する

純正より線径が太くなることで、巻きの重なる部分がクランクギアの軌道に干渉します。

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スプリングの位置次第で毎回発生する訳ではなく、画像の状態まで変形してしまえば干渉の影響はかなり少なくなります。
ただし、組み付け初期段階ではギアがロックする可能性もありますし、何より干渉を把握しながら放置というのは…。ということで対策して使用します。

加工の一例ですが、切りっぱなしのスプリング端面を丸める程度でも動作に影響します。

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良い部品の性能をより引き出すためにも、作業者側の理解とフォローが必要です。

スタータークランクシャフトの加工・調整~組み付け

次はシャフトです。支給品はブッシング当たり面が腐食していました。新品ですが…。
再度VTは不安なのでDSで調達。同じ台湾製でもQCはDSの方が信頼できる印象。

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とは言え超高精度という訳でもなく。ブッシング当たり面は研磨しておきます。

クランクギア側も同様に。

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画像の状態に加えて位置決め用リングが付きますが、圧入が緩い場合があります。
使用中に緩まないように対策しておきます。

スラスト方向のクリアランスも調整します。
こちらはメーカー出荷時のシャフトに付属のシムを入れた状態です。

シムをマシマシするにしても流石にクリアランスが大きすぎますね。しないけど。

こちらがクリアランス調整後です。

一応シャフトの根元にオイルシールがありますが、性能が十分とは思えません。
クリアランスの適正化で不要なオイルの流入を制限できます。

また、スターターギア断続時の条件を一定にして動作を安定させる意味もあります。

周辺各部の干渉をチェックし、ロックタブを装着して本締めで完成です。

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スプリングのテンションが低いストップ位置付近でも、キックアームは引っ掛かりなくスムーズに戻ります。

まだ当たりも付いていなければ、あえてグリスアップすらしていません。

それなりに時間が掛かっていますが、完成時に細かな積み重ねの効果が体感できたときは、本当に気持ち良いです笑

次回、セルモーター修理編に続きます。

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